マンションの売却価格を大きく左右する「査定」ですが、どうすれば少しでも高い評価を得ることが出来るのでしょうか?
同じ物件でも高い評価を得るためのポイントを知っているのと知らないのとでは、査定価格が大きく違ってくることがあるとしたらどうしますか?
そこで、査定で損をして後悔しないためのポイントについてご紹介することにしましょう。
1.査定の方法
まずは、マンションの査定はどんな方法で行なわれるのか、査定方法について確認しておくことにしましょう。マンションの査定方法には次のような方法があります。
取引事例比較法
中古マンション比較法とも言われている査定方法で、最も多く使用されている方法で、「中古マンション価格査定マニュアル」に従って査定が行われます。
取引事例比較法は、査定対象になるマンションと同じような条件の周辺マンションの実際の取引条件と比べて査定を算出します。
査定評価結果は点数であらわされますので、周辺マンションの査定ポイントよりも高ければ売却価格は高くなり、低ければ安くなってしまうことになります。
新規マンション比較法
この査定方法は、新築の分譲マンションの価格と比較して査定対象となっているマンションの価格を算出する方法になります。
建築年数の経過に伴う建物の老朽化を換算して、新築の分譲マンション価格から価格を差し引いて算出することになります。けれども、マンションの価格というものは固定的なものではない上に、マンションの設備や周囲の生活環境も違いますので、建築年数によって単純に算出することが出来ないケースが多くあります。そのため、新規マンション比較法が使用されるケースはあまり多くありません。
原価法と収益還元法
本来、原価法は新築分譲マンションの価格を決めるために使われ、収益還元法は賃貸マンションの査定を行なう時に用いられています。けれども、査定対象となるマンションと同じような条件での取引が近隣で行なわれたことがない場合に、これらの査定方法が用いられるケースがあります。
2.査定のポイント
マンションの査定方法について確認しましたが、それではどのような条件について比較されて判定されるのか気になりますよね。取引事例比較法の判定に使われるマニュアルに記載されている査定のポイントについて確認しておきましょう。次の14項目について査定が行われます。
1.交通: 最寄りの電車駅又はバス停までの徒歩時間や最寄り駅までのバス乗車時間などについて査定されます。
2.周辺環境: 学校、公園などの公共施設、商業施設、病院、騒音などの優劣について評価されます。
3.土地の権利: 所有権、借地権の権利の内容別に査定が行われます。
4.築年数: マンションが建築されてからの経過年数によって評価されることになります。ちなみに築浅物件は3~5年になります。
5.建物外観: 建物の外観の仕上げ方法について査定が行われます。マンションの外観としては、タイル、石、塗装、コンクリート打ち放しなどがあります。
6.間取り: マンションの部屋の間取りによって査定が変わって来ます。
7.収納: 収納スペースも評価の対象になります。
8.階層: 高い階層の方が、評価が高くなる傾向にありますが、1階と最上階はこの原則の例外になります。1階は階下への足音など気にする必要がありませんので評価が高くなります。また、最上階は夏暑く、冬寒いことが多いことで冷暖房費が必要なため、評価が少しだけ下がってしまいます。
9.開口の方位: 角部屋、南向きの部屋の方が高い査定になります。
10.日照・通風の阻害度: 日当たりや風通しの良さについて評価されます。
11.バルコニーの広さ
12.管理員の形態: 管理人が常勤の場合、評価が高く、次いで通勤、巡回となります。管理人がいない場合は低い評価になってしまいます。
13.共用部の管理: 玄関、階段、通路などの共有部分の管理状況について査定されます。
14.設備等: 設備の有無について評価されます。トランクルーム、オートロック、駐車場、専用庭などがある場合は評価が高くなります。
これらの項目についての評価をポイントであらわすことになります。
3.査定評価のポイントアップ
マンションの売り出し価格を決定するための査定のチェックポイントについて確認しましたが、これらのチェックポイントをアップするにはどうすれば良いのでしょうか?
査定のポイントアップのコツについて探ってみることにしましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
インターネットで、簡単に複数の不動産会社の査定価格を知ることが可能ですので、複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
最初の依頼は、書類上で査定を行なってもらうことで、世間の売却相場を知ることが出来ます。
また、複数の不動産会社に査定を依頼することで、世間一般の価値を知ることや、自分が所有している物件の高値についても知ることが出来ます。
この段階で依頼を考えている不動産会社を3社~5社に絞っておくことをおススメします。
既に、査定を依頼しているので、再度複数の不動産会社に依頼する必要をあまり感じない方もいるかもしれません。けれども、最終的に査定を決定するためには「訪問査定」が行われることになります。
訪問査定とは、売却を考えている物件を実際に確認して査定が行われます。チェックポイントが決まってはいますが、それでも査定を行なう会社や担当者によって価格が違ってしまうこともあります。
そのため、複数の不動産会社に訪問査定を依頼することで、査定で損をしてしまうリスクを少なくすることが可能になります。
自分で改善が可能なポイント
査定のポイントについては、先にお伝えした通りですが、マンションの場合戸建て住宅に比べて、所有者ではどうすることが出来ない条件が多くあります。
そのため、ここでは自分で改善することが可能なポイントについて見てみることにしましょう。
●台所などの水回り
汚れが気になる場所として台所などの水回りをあげる人が多くいます。そのため、台所などの水回りに汚れが無くキレイな状態に保たれているのであれば、査定ポイントアップが期待出来ます。
訪問査定を受ける前に部屋のチェックだけでなく、水回りの汚れも忘れずに落としておくようにしましょう。
●リフォームは赤字になる可能性も
キレイな状態のマンションであれば、査定がアップする可能性は高くなりますが、リフォームを行なうことが必ずしもお得になるとは限らないようです。
例えば、お部屋の壁紙を全て張り替えた場合、それにかかる費用分、査定価格がアップするかどうかは難しいケースがあります。
また、中には壁紙を自分の好みにしたいと思っている方も多くいらっしゃるようです。こうした方にとって、自分の好みではない壁紙は再度張り直しを行なわなければならなくなってしまいます。
周辺の開発予定を確認する
査定をアップするために、マンションの周辺の開発予定を確認しておくことをおススメします。
周辺に商業施設や駅が出来たりすることでマンションの価値が大幅にアップすることが期待出来ますので、市区役所に確認されることをおススメします。不動産会社が既にそれらの情報を把握しているケースも多くありますが、すり合わせをする意味でもご自分でそうした情報を確認しておくことは大切です。
4.まとめ
マンション査定で損をして後悔しないためのポイントについて確認して来ましたが、どの不動産会社に販売を依頼するかは慎重に選ぶ必要があります。査定価格が販売価格にはなりません。売り主が自由に価格を設定することが出来ますので、販売方法や販売価格について不動産会社と話し合って決めることになります。
マンションを少しでも高く売却して後悔しないためには、最終的には不動産会社選びにかかっているとも言えそうです。そのため、査定の行ない方や提示された査定価格を参考にご自分に合った不動産会社を見つけることがキーポイントになりそうです。