マンションを買い替えると、思っていた以上に出費がかさんでしまうものです。けれども、マンションの買い替えに対応する減税制度を利用することで税金の負担を軽くすることが可能です。
そこで、どんな減税制度を利用することが出来るのか調べてみることにしましょう。
1.マンションの買い替えの際にかかる税金
まずは、マンションの買い替えの際にかかる税金について確認しておくことにしましょう。
マンションを買い替える時には、マンションの売却とマンションの購入それぞれに税金が課税されることになります。
それでは、マンションの売却にかかる税金からチェックしてみましょう。
売却で課税されるケースと減税措置
マンションを売却した際、全てのケースに課税される訳ではありません。
マンションを購入した価格よりも高い価格で売却した場合は、売却によって利益が出ていますので課税(所得税+住民税)されます。けれども購入した価格よりも安い価格で売却した場合は売却による利益が発生していませんので課税されることはありません。
課税される場合は、給与所得とは別の分離課税方式の譲渡所得が適用されることになります。
また、譲渡所得が発生した場合でも特例措置が設けられていますので、特例が適用されれば減税や、支払いの繰り延べが可能になります。次のような特例が設けられています。
●譲渡所得から3,000万円控除
居住用のマンションを譲渡した場合譲渡所得から3,000万円を上限として控除することが出来る特例になります。
●軽減税率の特例
売却した居住用マンションの所有年数が10年を超えていた場合、税率が軽減されます。軽減税率を適用した場合、売却価格6,000万円以下の場合は、売却価格×10%+復興税、6,000万円超の場合は(売却価格-6,000万円)X15%+600万円+復興税になります。
●特定の居住用財産の買い替えの特例
売却した居住用マンションに10年を超えて居住していた場合、税金の支払いを繰り延べられたリ減税されます。
売却で課税されないケースと減税措置
また、売却価格がそのマンションを購入した価格よりも安い価格で売却された場合は、売却によって「損失」が出ていることになりますので、所得税を減税するために次のような特例が設けられています。
●特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰り越し控除の特例
住宅ローンの残債価格よりも安い価格で売却されてしまった時に、損失価格を給与所得などの所得と損益を通算することが出来ます。損益が1度で控除出来ない場合は3年にわたって繰り越すことが可能です。
●マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算および繰り越し控除の特例
マンションの売却によって損失が発生してしまった場合、その損失を給与所得などの所得と損益を通算することが出来、1度で損益が控除できなかった場合は3年にわたって繰り越すことが出来るようになります。
いずれの特例を受ける場合も、確定申告を行なうことが必要になります。
2.マンションの購入にかかる税金と減税措置
次にマンションの購入にかけられる税金と減税措置についてチェックしておくことにしましょう。
買い替えたマンションに対しては、「不動産取得税」が課税されてしまいます。不動産取得税は、購入してから数ヶ月から1年後に納税通知書が送られてきてから納税することになります。購入したときに納税しませんので、後で納税通知者が送られてきてから驚いてしまうことのないように、次の様な特例がありますので事前に税金の軽減措置を申請しておくようにしましょう。
●宅地の課税標準の特例
この特例を申請することで、宅地の課税標準が1/2となります。因みに宅地の課税標準額は、固定資産税評価額が適用されています。
●住宅用地の課税標準の特例
住宅用地の課税標準の特例には、小規模住宅用地と一般住宅用地があります。小規模住宅用地とは敷地面積が200㎡以下の部分、一般住宅用地とは敷地面積が200㎡を超える部分になります。マンションの場合は敷地面積をそのマンションの戸数で割って算出します。
この特例を受けることで、小規模住宅用地の部分の固定資産税評価額は、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に軽減されます。一般住宅用地の部分は、固定資産税が3分の1、都市計画税が3分の2に軽減されることになります。
つまり、敷地面積が200㎡以下の場合は、小規模住宅用地のみの計算式が適用されますが、例えば敷地面積が300㎡の場合は、200㎡分に対しては小規模住宅用地の計算方法が適用され、100㎡分に対しては一般住宅用地の計算方法が適用され、それぞれの税率をかけた金額を税金として納めることになります。
また、土地の価格の急激な上昇を防ぐために負担水準による調整という措置が行なわれています。
3.住宅ローン控除
それでは、マンションなどの住宅の買い替えを行なった時に受けることが出来る減税制度として良く知られている「住宅ローン控除」についてみてみることにしましょう。
住宅ローン控除の控除額
マンションなどの買い替えを行なった時に受けることが出来る控除額は、年末時点の住宅ローン残高の1%を所得税から控除されることが出来ます。
そして、買い替えを行なった年だけでなく10年間にわたって毎年その年の年末時点の住宅ローン残高の1%が控除されることになります。
また、年間所得税が住宅ローン控除金額よりも少ない場合は、その差額が住民税から控除される仕組みになっています。
例えば、住宅ローン控除額が30万円で、年間所得税が25万円の場合、5万円が所得税から控除されていないことになります。そのため5万円が年間住民税から控除されることになります。ただし、住民税からの控除金額には上限金額が設けられていますので、この金額を越えることはありません。
住宅ローン控除の条件
高額な税金控除が可能になる住宅ローン控除ですが、住宅ローン控除を受けるためには次の条件を満たす必要があります。
●対象となるマンションの用途が居住用
●生計を一にしている親族が持っていたマンションでなかった
●申請者の年間所得金額が3,000円以下
●返済期間が10年以上の住宅ローン
●対象となるマンションの床面積が50㎡以上でなおかつ床面積の50%以上が居住用
●買い替え購入したマンションが中古マンションの場合築年数が25年以下
住宅ローン控除の手続き
それでは、住宅ローン控除を受ける条件を満たしている場合、控除を受けるためにどのような手続きを行なえば良いのかチェックしておきましょう。
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告を行なうことが必要になって来ます。会社に勤務している方の場合は、最初の年にご自分で確定申告を行なえば、次の年からは年末調整の時期に必要書類を会社に提出することで住宅ローン控除を受けることが出来ます。
この時に提出する書類は、最初にご自分で確定申告を行なったときにまとめて受け取った住宅控除申告書の内該当年の申告書にその年の年末の住宅ローン残高金額を証明する証明書を添付して提出すればOKです
4.まとめ
マンションの買い替えを行なった際に利用可能な減税制度について見てきましたが、どの特例もご自身で申告しなければ受けることが出来ませんので、どの特例を適用するのが最適か判断に迷われたなら専門の方に相談されるのも良いかもしれません。
また、住宅ローンを利用されている場合は、住宅ローン控除と重複して適用することが出来ない特例があります。マンションを売却して損失が出てしまった場合は、損益の特例と住宅ローン控除を合わせて受けることが出来ますが、マンションを売却して売却利益が出た時に適用することが出来る特例は、住宅ローン控除と合わせて受けることが出来ません。
そのため、どちらか一方を選択する必要があります。その際には、住宅ローン控除は10年間受けることが出来ますので、その点も合わせて比較されることをおススメします。