マンションの買い替えを行なう際には売却先が決まってから購入先を決める「売り先行」と購入先を決めてから売却先を見つける「買い先行」の方法がありますが、「売り先行」で買い替えを行なっている方が多い傾向にあります。
それは、新しいマンションを見つけるよりも売却先が決まるのに時間がかかってしまうことが多いと言われていますが、そうは言っても買い替えは出来る限りスムーズに行ないたいものですので、売却先を広げてみられることをおススメします。
そこで、買い取り業者としての不動産業者について探ってみることにしましょう。
1.不動産業者に買い取りを依頼するメリット
まずはマンションを売却する際に、不動産業者に仲介ではなく買い取りを依頼するメリットについて考えてみることにしましょう。次のようなメリットがあります。
短期間で売却が可能
マンションの売却先は不動産業者になりますので、マンションの買い手探しを不動産業者に依頼する必要がありません。
そのため、マンションの買い手を探すためのPRを行なってもらう必要もありませんし、購入を希望する方の内覧に対応する必要もありませんので、短期間で売却を行なうことが出来ます。
また、売却価格についてもマンションの査定額が適用されることになりますので、査定価格よりも安く購入されてしまうリスクや価格交渉の手間もなくなります。
売却までに要する期間は、マンションの売却の仲介を依頼した場合は半年以上かかってしまうケースもありますが、マンションの買い取りを不動産業者に依頼した場合は1ヶ月以内で決まるケースが多くなっています。
資金の計画を行ないやすい
既にご存知の方も多いとは思いますが、マンションを売却するためには「抵当権」を外すために住宅ローンが完済されていることが前提条件としてあります。
そのためマンションの売却の仲介を依頼する場合、売却価格がローンの残債より少なくなってしまうと、差額を補填してローンを完済する必要があります。
けれども、マンションの買い取りを不動産業者に依頼した場合は、ローンの残債があったとしても、買い取りを行なう不動産業者が金融機関との交渉を代わって行なってくれることになります。
そのため、買い取りを行なってもらった後に新たに購入を予定しているケースでは、資金繰りの計画を行ないやすくなります。
誰にも知られずに売却が可能
また、マンションを売却する理由は人によって様々です。場合によってはあまり他の人に知られたくないこともあるものです。
マンションの売却の仲介を依頼すると、購入者を探すために広告やチラシなどを行なうことになりますので、他の人に知られてしまうことになります。
けれども、マンションの買い取りを不動産業者に行なってもらう場合は、チラシを配布したり、内覧会を行なったりする必要はありませんので、他の人に知られてしまうことはありません。
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)が免除される
マンションの仲介を依頼して売却した場合は、売却後にマンションの設備や構造部分に欠陥などが見つかると、売主は買主に対して一定の期間は責任を負う義務責任があります。この義務責任のことを「瑕疵担保責任」と言います。
けれども、マンションを不動産業者が買い取った場合は、買主が個人ではありませんので瑕疵担保責任を負う必要がありません。
買主が個人の場合は、売却後に設備の不良が見つかったことが原因で売主と買主の間でトラブルが発生してしまうという問題が起こってしまうことがあります。けれども、不動産業者が買い取りを行なった場合は、売主に瑕疵担保責任がありませんので、こうしたトラブルを回避することが出来ます。
また、売主側でリフォームを行なう必要もありません。こうしたリフォームについては、すべて買い取りを行なった不動産業者の方で行なうことになりますので、リフォーム費用もかかりません。
そのため、売却後のトラブルを回避し余分な費用の発生を防ぐ方法として、不動産業者によるマンションの買い取りはオススメです。
仲介手数料が無料
さらに、マンション売却の仲介を不動産業者に依頼した場合は、仲介手数料を不動産業者に支払うことになりますが、マンションの買い取りを依頼した場合は、買い手が不動産業者になるため、仲介手数料が発生しません。その分を他の費用に回すことが出来ますので節約することが可能です。
仲介手数料は、400万円以上の売買の場合、売買価格の3%に6万円を加算した金額が請求されることになります。
例えば、2,000万円で売却された場合、仲介を依頼して売却が成立した場合は66万円を仲介手数料として不動産業者に支払う必要がありますが、買い取りの場合は不要になります。
不動産業者に買い取りを依頼する場合は、売買契約に買い主のローン特約が付け加えられることがありません。
そのため、売買契約を交わしたけれども、買主の住宅ローン審査が通らなかったために、売買契約そのものが白紙に戻されてしまうということはありません。
売買契約が白紙に戻されてしまうと、また、買主を探すために広告を出したリ、内覧を行なったりといった手間や時間がかかってしまうことになります。
2.不動産業者が買い取りを行なうデメリット
次に、マンションの買い取りを不動産業者が行なう場合のデメリットについて考えておくことにしましょう。次のようなデメリットがあります。
低い買い取り価格になる傾向
マンションを不動産業者に買い取ってもらう場合の売却額と、マンションの売却の仲介を依頼した場合の売却額では、不動産業者の買い取り価格」の方が低い価格になる傾向があるようです。
不動産業者の買い取り価格は、仲介を依頼した時の売却価格の約7割前後と言われています。その理由は、不動産業者はマンションを買い取った後、リフォームやリノベーションを行なってマンションの転売を行なったりすることで、利益を得る仕組みになっているからです。
買い取りを依頼してしまうと不利なマンションも
また、全てのマンションが買い取りに向いているとは限りません。中には買い取りを依頼してしまうと不利な条件になってしまうマンションもあります。
例えば、立地条件が良くて人気の高いマンションや、築浅のマンションなどは、仲介を依頼して売却した方がより高い価格で売却することが出来る可能性が高くなります。
不動産業者がマンションの買い取りを行なうのは、あくまでも安い価格で購入してリフォームを行なった上で、転売することになります。
3.マンションの買い取りを不動産業者に依頼した方が良いケース
マンションの買い取りを不動産業者に依頼した場合のメリットとデメリットについて見て来ましたが、それでは、どんなケースが買い取りに向いているのでしょうか?
マンション買い取りのメリットとデメリットを踏まえた上で考えてみましょう。次のようなケースは買い取りに向いているケースと言えるでしょう。
●すぐにマンションを売却して現金化してしまいたいケース
●不動産業者と交渉する時間を取ることが出来ない場合
●他の不動産業者にマンションの売却の仲介を依頼しているにもかかわらず未だに売却先が決まらないケース
●マンションの売却を誰にも知られずに行ないたい場合
●リフォームや保証などのような余計な手間をなるべくかけることなく売却したい場合
不動産業に買い取りを依頼するメリットは買い取り価格が仲介による売却に比べて安くなってしまうという金銭的な面でのデメリットを考慮しても、売却後のトラブル回避やメンテナンスや保証の問題解消など多くのメリットがあります。
そのため、マンションの売却を考えている場合は、一度不動産業者による買い取りを検討されてみることをおススメします。