マンションの売却には高額の取引が伴うことになりますので、慎重に対応したいものです。
しかし、これまでにマンションの購入を経験したことはあっても、マンションの売却を経験したことがある方はあまり多くないのではないでしょうか。
今回は、マンションの売却に関する契約を結ぶときにどんな点に注意をして契約を締結すれば良いかお伝えしたいと思います。
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◆目次
1.マンションの売却契約の際の注意点~手付金~
マンションの売却の契約を結ぶときに、手付金が発生しますが、この手付金の取扱いについて注意しておくことをおススメします。
手付金について詳しくみてみることにしましょう。
手付金の種類
手付金には、解約手付、証約手付、違約手付の3種類があり、それぞれの役割は次のようになります。
・証約手付: 契約を結んだことを証明するための手付
・解約手付: 売主と買主それぞれに負わされることになるもので、解約したときに支払う必要のある手付
・違約手付: 契約違反が行なわれてしまったときに、損害賠償金に上乗せして支払う必要のある手付
マンションの売却に伴う手付金の場合は、これらの中の「解約手付」に当たりますが、売主と買主、どちらから解約を申し出たかによって、手付金の取扱いが大きく異なりますので、注意が必要です。
契約の解約を申し出た側によって解約金が異なる
買主側からマンションの売却に関する契約の解約を申し出た場合は、手付金が解約金として取り扱われ、買主側に手付金が返金されることはありません。
買主側が解約を行なったことによって、負担する金額は手付金のみになりますので、これ以上の負担は必要ありません。
けれども、売主側から解約を申し出た場合は、手付金の売額を解約金として支払う必要があります。
解約する場合に、買主側と売主側では解約金が大きく異なりますので、手付金の金額を決めるときには、注意が必要です。
手付金の相場は売買金額の5%~10%と言われていますが、あまり低すぎると買主側からキャンセルされてしまうリスクが高くなりますが、あまり高すぎると何らかの事情で売却することが出来なくなってしまった場合に売主側の負担が高くなってしまうことになります。
これらを踏まえた上で、手付金の金額と手付解除(売買契約の解約)期限を決めることをおススメします。
マンションの売却契約の際の注意点~所有権の移転と引き渡し~
マンションの売却の契約を行なう際には、所有権を移転し、マンションの引き渡しの時期について決める必要があります。
どんな点に注意して決めれば良いのか確認することにしましょう。
引越し時期を確定する
所有権の移転とマンションの引き渡しの時期を決めるときには、引越しの時期を確定してから決められることをおススメします。
引越しの時期を確定しないまま、所有権の移転とマンションの引き渡しの期日を決めてしまうと、場合によっては引越しの準備を十分に出来ないまま退居しなければならなくなってしまうことにもなりかねませんので、注意が必要です。
売却の契約を行なう際には、引越しを想定して十分な余裕をもって期日を決めることが大切になります。
代金の支払いと引き換えに行なわれる
また、売却マンションの所有権の移転と引き渡しは、売買代金が支払いと引き換えに行われることになります。
実際には、売買代金の支払いが行なわれる場所で、所有権移転登記のための書類やマンションの鍵などが買主に引き渡されることで完了するケースが多くなっています。
そのため、売買代金の支払いが行なわれたのに、所有権の移転とマンションの引き渡しが行なわれないという状況は認められないことになりますので、この点も注意しておくようにしましょう。
3.マンションの売却契約の際の注意点~付帯設備の引継ぎ~
マンションの売却を行なう際に、トラブルになりやすいのがマンションの付帯設備であるエアコンや照明器具などの引継ぎがありますので、注意する必要があります。
具体的にどんな対応を行なうことで、こうしたトラブルを回避する方法についてご紹介しておきましょう。
付帯設備をリストアップする
まずは、売却を行なうマンションの付帯設備をリストアップしてみましょう。
一覧表を作成しておけば、後で簡単に再確認することが出来ますので、抜けや漏れを防ぐことが可能ですので、一覧表を作成することをおススメします。
一覧表を作成するときには、抜けや漏れがないように注意しましょう。
リストに入れた付帯設備にポストイットなどを貼付するようにすれば、確認の際の手間もグンと省くことが出来ます。
リストアップした付帯設備を分類する
付帯設備をリストアップしたなら、その設備を引き継ぐ設備にするかどうか、分類するようにしましょう。
そうすることで、買主側と売主側の思い違いを防ぐことが可能になります。
マンションの引き渡しを行なった後で、買主側が付帯設備として引き継がれると思っていたのに引き継がれなかったと言ったトラブルには注意したいものです。
4.マンションの売却契約の際の注意点~瑕疵担保(かしたんぽ)責任~
マンションを売却した後で、マンションに売却当時には気が付かなかった隠れた瑕疵(欠陥など)が現れてしまうことがあります。
こうした欠陥が現れた場合の売主側の対応についても、注意深く取り決めておく必要があります。
瑕疵担保責任とは
売却したマンションが、売却の時には現れていなかった欠陥などが現れた場合、売主は物件の修補や損害を賠償する義務を負うことになります。
こうした売主側の責任を瑕疵担保責任と言います。
場合によっては、住むことが難しいほどの欠陥が発覚してしまい、契約自体が解除されてしまうこともありますので、注意が必要です。
瑕疵担保責任の期限を決める
マンションの売却を行なう際には、売主の瑕疵担保責任と責任を負う期間について、決めておくことが重要になります。
瑕疵担保責任の期間は、短ければ短いほど買主にとってはメリットになり、長ければ長いほど売主にとってはデメリットになりますので、どの程度の期間にするかは、重要なポイントになって来ますので、注意深く決めることをおススメします。
建物状況調査
マンションの売却を行なう際には、可能であれば建物状況調査を行なわれることをおススメします。
建物状況調査を行なえば、調査結果の概要を重要事項として説明した上で契約を締結することが出来ます。
そして、説明が行なわれた上で契約が締結された場合は、調査結果の概略を添付して「建物の構造耐力上主要な部分等の状況について双方が確認した事項」として、売買契約書に記載されます。
こうした調査を行ない、買主と売主双方で現況の確認を行なえば、長期にわたる瑕疵担保責任を避けることが出来る可能性も高くなることが期待出来るでしょう。
また、何らかの欠陥や注意点が発見された場合は、早めの対処も可能になります。
マンションの売却契約の際の注意点~不動産仲介業者~
マンションの売却契約を行なう際の注意点についてみて来ましたが、マンションの売却経験がない方にとって、的確なアドバイスや対応を行なってくれる信頼出来る不動産仲介業者に依頼することが出来るかどうかは、売却の成功の鍵を握っているとも言えそうです。
けれども、普段から不動産仲介業者と付き合いがある方はあまり多くないのではないでしょうか。
そのため、信頼出来る不動産仲介業者が分からないと思っている方も多いのではないかと思います。
おススメの不動産仲介業者をいくつかピックアップしてみましたので、以下の通りご紹介します。
5.まとめ
マンションの売却には高額な金額が伴います。
それだけに、買い手側からすると大きな損害を受けたことになってしまい賠償責任が問われてしまうこともあります。
売り手側として知らなかったでは済まされないことがいくつかあります。
今回ご紹介したマンション売却の契約時に知っておきたい注意点については、十分に理解された上でマンションの売却をスタートされることをおススメします。